キミが泣くまで、そばにいる


「もっと……」


 私の肩に顔を埋め、彼は声を詰まらせた。


「生きてて、ほしかった」


 空に向かって手を伸ばし、私は、アカツキの頭を抱きしめた。

 光を閉じ込めてしまう砂色の髪は、さらさらと指の間をすべる。


 耳元で、ひくっと喉を震わせる音がする。


 痛みが、涙と一緒に流れていくのが分かる。


 湿った吐息を感じながら、私は砂色の髪を撫でた。
 
 

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