キミが泣くまで、そばにいる


 自動ドアを抜けアカツキの背中を探す。

 数メートル先の赤信号で立ち止まっている派手頭を見つけて、私はとっさにカラオケ屋の看板に身を隠した。

 耳の奥ではレミの声が響いている。

 ――ちーちゃんも微笑み王子の弱みを握れば……。

 青信号で歩き出した微笑み王子に見つからないように、物陰に隠れながら、私は彼のあとを追う。


 学校ではいつも笑ってて、頭も良いし、弱みを見せるような隙がまったくない。

 だったら、学校外にいるときに探すしかない。


 アカツキはきっと、ただの微笑み王子じゃない。

 それは直感だった。


 ――やめたほうがいい。

 数学科準備室のそばで、彼が一瞬見せた表情を思い出す。

 暗く、感情のない目。

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