性別「少年」属性「乙女」
ちょっとして。

看護師さんに案内されて、灰色のスーツを着た男の人がふたり、病室に入ってきた。


「え?大丈夫なんですか?休んでいただいていいんですよ」


ボクが、二人分の椅子を並べていたから、男の人達は、ちょっと、びっくりしたみたいだった。

看護師さんが、呆れたようにボクから椅子を取り上げる。


「もう、佐野川さん。まだ力仕事とかダメでしょう?どうしてそうやって、すぐ動こうとするんですか」


「だって、もう、歩いてもいいんでしょう?」


「力を入れてもいいとは、許可されていません」


けち。

つい、頬をふくらませてしまったボクに、看護師さんが吹き出す。


「ハムスターみたいな顔してもダメです。ほら、ベッドに戻ってください」

「でも」

「いいんですよ。こっちが、無理言ってお話をうかがうんですから。つらかったら、いつでも中断しますから、気を楽にして話してください」


ベッドに横たわりながら、ボクは、頷いた。

でも、そんなこと言っても、ドキドキしちゃうよ。

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