おとななこども

2~生徒会室での練習

その翌日のホームルームは劇の練習だった。

「じゃあ、1度通して見ようか。

台本持ってるー?」

委員長の合図で、台本片手に持っての練習が始まった。

わざと間違えて、そのうえ失敗しまくってやるんだから!

「…桃、緊張しているのはものすごくわかるんだけど、棒読みはないんじゃない?」

委員長が困ったと言うように言った。

「えっ…。

いやあ、あたしこれでもフツーに…」

“わざと”で、棒読みである。

「もう少しリラックスして、感情をこめないと…」

「うん…わかった…」

もう1度台本に書いてあるセリフを呼んだ。

今度はボソボソと、周りに聞こえないような小さな声で読む。

もちろん、“わざと”である。
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