おとななこども

5~ホワイトデーにはバラの花束を

バレンタイデーから1ヶ月後の3月14日。

その日の授業は午前中だけで、あたしは早く家に帰った。

後1週間で春休み。

リビングの窓から差し込む日差しは温かくて、もうすぐ春がくるんだなと実感した。

真里は学校、若葉ちゃんは仕事、つぐみちゃんはバイト。

つまり家にはあたししかいない。

テスト期間中にハードディスクに録画していたドラマやバラエティー番組を見ながら、午後を過ごしていた時だった。

ピーンポーン

玄関のチャイムが鳴った。

「何かしら?」

どうせ、セールスの押し売りか何かだろう。

そう思いながらあたしはソファーから腰をあげると、玄関に向かった。
< 341 / 343 >

この作品をシェア

pagetop