先生の「特別」にしてくださいっ!
10

君との距離

「凛さん、実家に帰ったよ。」

修学旅行から帰ってくると、
真っ先に兄貴にそう伝えられた。

「は?何、冗談言ってんの?」

嘘だろ?

「いや、冗談じゃないし。ほら、これ。」

見ると1枚の手紙…というか書き置き。

《突然ですが、実家に帰ることにしました。
今まで、色々お世話になりました。》

あ?何言ってんだ?こいつは。

「って、何で兄貴が知ってるんだよ?」

この置き書きもなんで持ってんの?

「日曜日に会ったから…
守がロンドン行ってたの忘れてて。」

「ああ。」

「ちょうど、荷物持って行くところだった。」

「え!?何で引き留めなかった?」

「はい?何で引き留めるの?」

「何でって…」

普通、実家に帰ることを引き留めたり…
しないか。しないな。

「凛さんが一人暮らしを続けたかったのは、
自由で楽だったから以外に理由はないって
言ってたよ?
だけど今回、先生に迷惑かけたからって…」
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