LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 アパートに着くと、深空が事故前に預かっていた鍵でドアを開けた。

「あら、結構綺麗にしてるのね~」

 節子は玄関に入るなり、感嘆した声をあげた。そして早速靴を脱いで中に入っていく。雄二はというと、まるで他人の部屋にやって来たかのように、玄関に立ち尽くしていた。

「先生の部屋だよ。何遠慮してるの」

 深空が彼の手を引いて、中に促す。

「あ、うん…。ごめん。やっぱり、実感無いなーって…」

 雄二がそう言うと、一瞬深空の顔が曇る。それを見逃さなかった彼は、慌てて付け加えた。

「大丈夫。すぐ、思い出すから…」

 深空を納得させるように、彼は笑う。それが余計に深空の胸を締め付けていた。

「今日は、雄二の好きなものを作るわよー♪」

 張り切って声をあげる、節子。

「フフフ、よかったね」

 ウィンクをしながら深空が雄二に言った。

「あぁ」

 笑いながら、彼はうなずいた。

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