LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜
 深空はこどものように、深雪と一緒になってはしゃぎ、公園での時間を満喫していた。そろそろ日も陰り、気温が下がってきた頃―

 たくさん遊んだ親子は、仲良く手を繋ぎ、駅までの道を歩く。時折、深雪は目を擦りながら眠そうに歩いていた。

(電車乗ったら、こりゃ寝ちゃうな)

 深空は深雪の手を引きながら、そんなことを考えていた。

 予想通り、電車の席に座ると間もなく、深雪は深空の腕を枕に、寄り掛かりながら眠ってしまった。小さな寝息を立てながら眠る娘の寝顔を眺めながら微笑んでいると、各停電車は、すぐに次の駅に到着する。見慣れた駅のホームに滑り込む、電車。不意に昔のことが頭に過ぎった。

 死のうと飛び降りかけたとき、止めてくれたのは…

 その男の顔を思い出したとき、水面のように揺れて、すぐに消えていった。

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