婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。
(よし、作戦成功!かな?)
その表情になんとなく達成感を感じていると、不意に菅原様が首を傾げた。
「ところで、お前は?」
「え?何がでございますか?」
「委員会の話だ。……もう決めたのか?」
「いえ。候補はいくつかあるのですが、まだ決まっていなくて」
正直に答えると、菅原様は「そうか」と小さく頷いた。
まぁ最悪、最後に残った委員会でもいいんだけどね……と思ったその時、高橋先生が口を開いた。
「よーし、じゃあそろそろ決めていきたいと思います」
その言葉に反応した私は、身体の向きを正面に戻すと姿勢を正した。
視線の先には、チョークを持った高橋先生。
「それでは、まず学級委員長。誰かいますか?他薦でもいいですよー」
そう言ってクラス内を見回す先生の目には、明らかに諦めの光が宿っていた。
そりゃそうだ。わざわざ面倒くさい学級委員長に立候補する人なんてそうそういないのだから。
――ただし、今回に限り別だけど。
「……俺、やります」
私の後ろから、凛とした声が響いた。