婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。
(……うん。これだけ聞けば、敬太様だって少し俺様な不器用クンなんだけどなぁ)
私は、『天シン』と現実との大きなギャップに思わず頭を抱えてしまった。
――現実での敬太様は、間違なく嫌な奴だ。悪魔だ。エセ王子だ。
少なくとも人の呼吸を阻害して笑うような人じゃなかったハズなのに、
一体どうしたんだあの人。
悪い方向にキャラ崩壊しちゃうなんておかーさん悲しいよ。
いや産んだ覚えなんてないけどさぁ。
「……まぁとりあえず、オリエンテーション合宿は気を引き締めていかないとね」
私はグッと両手を握りしめると、しっかりと頷いた。
なんせこのオリエンテーション合宿、
レクリエーション大会の後にはもう一つ大きなイベントがあるのだ。
その名も『交流パーティー』。