青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「………もぉ、やだぁ……」
彼が長い間、ずっと片想いをしている相手。
そんなの、ひとりしかいないじゃん。
彼が転校して来た日、真っ先に声をかけたのは利乃だった。
彼があの寂しい笑顔をするときは、決まって利乃がいないときだった。
……ああ。思い出せば、たくさんあるじゃない。
彼の言葉にはいつだって、彼女の存在があったこと。
…気づいてしまった。
慎也の好きな人は…利乃、なんだ。