青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
なんでこんなに、弱いんだろう。
…もっともっと、強くならなきゃ。
強がりだっていい、今このときだけの、ごまかしだったとしても。
それでも、いい。
彼がいなくても笑うことのできる私になったと、彼に伝えなきゃいけない。
だから、だから。
『いくらでも泣けばいいじゃん。ただその後、ちゃんと前さえ向ければ』
トモくんの、強い声が耳に残ってる。
…うん。
そうだよね、泣いたって、いいんだよね。
ちゃんとそのあと、向き合うことができれば。
私はその場から動かずに、その人をまっすぐに見つめて、口を開いた。
「こ…ん、ばんは」
声が少し、震えてしまったかもしれない。
彼はもちろん、お母さんも驚いたように振り返る。
私は気恥ずかしくなって、「…じゃあっ」と言うと階段を駆け上がった。