青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


「…うんっ」


もう一度大きく頷いたあたしに、池谷くんも頷き返してくれた。





「今日はホントに、ありがとうございましたっ」


人通りの少ない、小さな駅の、改札前。

あたしは池谷くんに、ペコっと頭を下げた。

「…相談…のってくれて。なんか、気が楽になったっていうか。ありがとう」

「それなら、よかった」

顔を上げて、ちらりと池谷くんを見上げる。

目があって、何故かドキッとした。

慌てて目をそらして、口を動かす。

「え…えっと…じゃ、じゃあ、あたしはこれで」

「小城さん」

え?

池谷くんの方を見た瞬間、ぐいっと引っ張られた。

目の前に立たされて、耳元に唇を近づけられる。

えっ…なに!?

心臓がすごい速さで脈打ち始めたあたしに、池谷くんは囁くように言った。


< 35 / 380 >

この作品をシェア

pagetop