青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「……来てないって…」
「毎朝俺、学校の近くの横断歩道んとこで、慎也と待ち合わせしてるんだけどさ。なかなか来ないと思ったら、メール来て」
携帯を見せられると、そこには【先に行ってて】という簡潔な文章があった。
トモくんが、眉を寄せて携帯を見つめる。
悔しいって、顔だ。
「どしたのって訊いても、あいつ、大丈夫としか返してこない。…絶対、大丈夫じゃねぇ」
……慎ちゃん。
なに、してんの。
ふたりに心配かけて、どこ行ってるの。
鞄の持ち手を、ぐっと握りしめる。
…慎ちゃん、慎ちゃん。
「…利乃」
呼ばれて顔をあげると、麗奈ちゃんが私を見ていた。
その強くてまっすぐな視線は、思わずそらしてしまいたくなるほどで。