青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…お昼休みに、いつも通り麗奈ちゃんとお弁当を食べようと思って。


そしたら担任に呼び出されて、早退することになった。

なんでも、お母さんが担任に用事があるからと電話を入れたらしい。

なんだと思って電話すると、お母さんは『会ってほしい人がいる』なんて答えるから。

逃げてしまおうかと思ったけど、早退した以上、それもできなかった。

お母さんはきっと、それをわかってこんな面倒なことをしたんだろう。

家にできるだけいたくない私は、土日は大体朝早くから出かけてる。

だから、無理矢理にでも学校を早退させたんだ。


…新しい恋人と、私を会わせるために。


「……一度会ったくらいじゃ、どうやっても他人にしか思えないっつーの…」

目を閉じて、今日喫茶店で会った男性を思い返す。

優しそうな人だった。

無愛想な私を気遣って、打ち解けようと必死になってくれていた。

それでも所詮、他人は他人だった。


< 39 / 380 >

この作品をシェア

pagetop