青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…でも。


それであたしはあたしを、変えることができるんだろうか。


トモの優しさに甘えて、あたしもなんとなく彼のことを好きになって。

…あたしの『大切な人』は、トモになるんだろうか。

汗が、たらりと首筋を伝う。

コンクリートで舗装された、歩道が熱い。


…なんか、違うって思った。

トモと付き合うのは、何かが違うって。

それがなんなのか、わからない。

…ただ、わかるのは。


隣にいる池谷くんの存在が、あたしを引き止めるっていうこと。


「……小城さん、大丈夫?」

その声に、ハッとした。

揺らいでいた視界と意識が、はっきりしてくる。

…ヤバ。暑さにやられてた。


< 84 / 380 >

この作品をシェア

pagetop