いつでも王子様



その関係。

それはきっと、薫にしてみれば私は家族の一員のようなもの。

一方私は、薫のことが大好きで、それは恋人になりたいという大好き。

小学生の頃から仲が良かった私たちは、地域の子供会の集まりなどで両親たちも親しくなり、家族ぐるみの付き合いが始まった。

私の父は、薫に「俺の会社に入らないか?」と半ば本気で言うほど彼の事を気に入っている。

弟の璃久がプロサッカー選手になるという夢に向かって留学をして以来、自分の会社の後継者に薫はどうかと真面目に考えているようだ。

中学時代の成績は常にトップ、生徒会長も務め、バスケ部の部長だった。

長身で見た目も悪くないとなれば女の子からも人気があり、薫目当てのバスケ部のマネージャーたちから私は目の敵にされていた。

とはいっても、薫が私を大切にしていることが周囲に知られていたせいか、私を直接いじめたりすれば、そのことは誰かの口から薫へとすぐに伝わっていた。

『璃乃は、俺が守ってやるから安心しろ』

そう言って私を守り、側に寄り添ってくれていた薫に恋する私は、いつか薫の恋人になれればいいなと思いながら、そして、薫が私のことを愛してくれればいいなと思っていたけれど。

中学三年生の夏、薫に彼女ができた。

バスケ部の試合の対戦校のマネージャーの女の子で、薫の隣がよく似合う綺麗な女の子だった。

『璃緒』

私によく似た名前の女の子は、薫と私が通っていた塾にも通い始め、そのせいで私と薫が一緒にいられる時間はかなり減ってしまった。

そして、薫と彼女が同じ高校を目指していると知った私は、薫には内緒で志望校を変えた。

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