天使ラビィの不思議な珠


「消えちゃった」


ラビィが泣きながら呟くと、カピィの体がぴくりと動き、やがてゆっくりとまぶたが開いていきました。


「カピィ!」

「ラビィ、……え? なに? ボクなにした? ねぇ泣かないでよ」


カピィは自分が溺れたことなどすっかり忘れたように、泣き続けるラビィを慰めます。


その時、空から神様が下りてきました。
タップリとした白いおヒゲと、細い糸みたいな瞳。その表情はいつものようにとても優しそうです。


「カピィ、よく頑張ったね」

「神様、ボク……」

「君が失くしたあの珠は、ラビィの気持ちを少しだけ吸い取る珠だったんだ。ラビィは我慢ばかりしてしまうからね。悲しい時は悲しいってちゃんと思えないと、心はおかしくなっちゃうからね」

「やっぱり!」


だから、珠が失くなっちゃったらおかしくなったんだ。
そんな珠を失くしてしまったことに、カピィがシュンと俯くと、神様は笑って頭を撫でてくれます。


「だけど、カピィが傍にいれば大丈夫そうだ」

「え?」


驚いている二人ににっこりと笑いかけると、ヒゲをたくわえた神様は天上へと戻っていきました。



< 15 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop