天使ラビィの不思議な珠

 次の日、ボクはまたお迎えまでの時間、サユちゃんのところに行った。
サユちゃんは、今日はお絵かきをしたいって言ったから、ボクは近くで自分で読むことにする。


「ラビィの絵、かいてあげる」


サユちゃんはそう言うと、ボクの隣に座ってラビィの絵をかきはじめた。

まあるいお顔にピンクのほっぺ。水色の髪に白い羽のとても可愛いラビィ。
サユちゃんは、絵がじょうず。

そこへ、年長さんのユナちゃんがやってきた。


「サユちゃん、なにかいてるの。見せて?」

「だめ。まだ途中だから」

「えー、みせてよー。かしてぇ」


ユナちゃんが、お絵かきの紙をひっぱった。


「ダメ。やめて」


サユちゃんも紙を押さえる。
そうしたら、二人で引っ張り合いになってしまって、ラビィの絵はやぶれてしまった。


「あっ」

「あー、サユちゃんがわるいんだよ。だってみせてくれないんだもん!」


ユナちゃんがひっぱるからじゃないか。

ボクはそう思った。
ユナちゃんはいつもはわがままさんだ。


「ユナちゃんがひっぱるから……」


サユちゃんがそう言いかけると、だんだんユナちゃんの顔が変わってくる。

泣くのかな。

ボクはユナちゃんをじっと見てた。
でもユナちゃんが泣き出す前に、隣のサユちゃんがギュッと握っていた手を、だらりとおろした。

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