天使ラビィの不思議な珠

「先生、ちがうの」

小さなサユちゃんの声。

だめだよ。
ガマンしないで、泣こうよ。
いっぱい泣いてよ。

ボク、カピィみたいになりたいんだ。
サユちゃんにとっての、カピィになりたいんだよ。


だけど、皆の責める声や顔が悲しくて、ボクの目からもだんだん涙が出てきた。


「サトルくん」

「ボク、……ボクも泣きたいんだから。一緒に泣こうよ、サユちゃん」

「サトルくん……」

「う、うわーん」


泣きたいって思ったらボクは我慢なんか出来ない。
涙は後から後からでてくるから、ボクはわんわん声を上げた。


サユちゃんも、少し一緒に泣いてくれたけど、いつの間にか泣き止んで、ボクの方を心配そうに見ながらギュッと手を握っていてくれた。

その手があったかかったから、ボクはもっと泣きたくなって。


お母さんが迎えに来るまで、わんわん、わんわん泣いたんだ。





< 20 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop