璃琥―riko―
~said Ura~

空が紅く染めてきた。美しく綺麗なのにどこか切ない。
学園長室も紅く染めてきた時に電話が鳴った。
たぶんアイツだな。

『やっほ~雨來。』

「ん。電話なんて久しぶりだな、華恋」

あのこ達の母親であって、俺らの一番大切な人。俺らを大切に思ってくれた人。

『愛、元気にしてた?
雨來と來夜のところに行ったでしょ』

あくまでも疑問系じゃない。
ここにいたって確信してるし…。
さすが愛の“おかあさん“だ。

「ついさっきまでいたよ。今は、來夜と一緒に昇降口にいってるよ。スーパーで買い物してから帰るんだって。」

來夜も口ではああ言いながらも愛を可愛いがっているからな。
それは、愛しの莉茉とおなじくらい。
二人共、大切な妹なんだ。

『はぁ…。愛のカレーを食べたいわ。
じゃなくて、あの件はどうなったの?』

「今はまだ大丈夫だ。」

これは誰も知らなくていい。
闇に潜めていていい。
本当は華恋も苦しまなくていいんだ。
でも、華恋にそう言ったってアイツは苦しむ。だから言えない。

『私がなんとかしなくちゃいけない…雨來……巻き込んでごめんっ……』

華恋は優しすぎるんだ。
優しすぎて余計に苦しむ。
だから俺は…

「はぁ…華恋はいつもそれだ。
俺は頼りないのか?」

『ちがっ…』

「だったら信じろ。
俺はずっと―――――味方だ。」

暗い闇に囚われて足掻くことも出来なかった俺を救ってくれたんだから。
俺に“笑顔“を教えてくれた華恋は、守るって決めたから。

『―――も愛も私が守るわっ……!』

俺はそんな強くて儚い華恋を守る。

たとえそれで自分がどうなろうが。
”あの日”を繰り返さないように。
だれも、泣かないで傷つかないでくれるなら。
大切な居場所を守るために。

「……璃琥」

―――紅い空を見つめて決意した青年がひとりいた。



< 33 / 35 >

この作品をシェア

pagetop