恋の糸がほどける前に

中学生活、私のすべてをささげたと言っても過言じゃない、合唱部。

すごく楽しかったけど、ものすごく厳しい先生で、コンクールでもそれなりに強い学校だったから大変だった。

だから、部活している間はそれだけで精一杯で、勉強なんて本当にしてなくて。

その分引退してからは、すごくすごく頑張ったと思う。

死ぬ気でやった。

本当に、文字通り、死ぬ気で。

だから、目指してた進学校にちゃんと入学できたんだ。

担任にも、両親にも、絶対無理だよ、なんて言われてたのに。

諦めなくてよかった、なんて合格したときは思ったけど。


自分の実力以上のところに入るって、それなりの覚悟が必要だ。

……周りの皆の頭の出来が違いすぎて、授業についていくのに必死。

予習なんて無理。

難しいことを難しい言葉で説明された教科書を読んだって、ちんぷんかんぷんすぎて、意味わかんないもん。

どうして皆はこんなに意味がわかんない説明で理解できるの?

……なんて思ってたけど。

少なくとも、私と同じようにちょっと背伸びしてうちの高校に入った水原は私と同類みたいで、なんだか安心した。

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