ラストバージン
菜摘にそこまでの心境の変化があったなんて、と信じられなくて。
そんな彼女に心底驚きながらも、何だか急に置いてきぼりにされてしまったような気持ちになって。
今までに感じた事がない程の、大きな不安に襲われた。


「それでさ、もし良かったら葵も一緒に行かない?」

「え? ……私?」


ニッコリと笑う菜摘に目を小さく見開くと、彼女が大きく頷いた。


「思い切って申し込んでみたものの、正直に言うと一人で参加するのはちょっと心細くて……。今までは軽い気持ちで参加してたからそんな事思わなかったんだけど、いざ真面目に参加するとなると尻込みしそうになるって言うか……」


軽いため息を漏らした菜摘は、コーヒーを一口飲むと苦笑した。


「だから、葵もどう?」

「私、婚活なんて……」

「そんなに深く考えなくていいよ。私も先輩に誘われた時は、仕方なく参加したし。だから、葵も軽い気持ちでさ」

「で、でも……」

「葵となら変に気を遣う必要もないし、今回だけでいいから。それに、葵だっておばさんとの事があるから、ちょっとくらい行動した方がいいでしょ? ね? お願い!」


乗り気になれない私に、〝母親との事〟という切り札を出した菜摘が両手を合わせる。

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