チャラ男とちょうちょ
しばらくして、インターホンが鳴った。
時計を見たら、夜中の1時だった。

(誰だろ?ルナちゃんかな?)

見ると、小さなモニターには裕貴が映っていた。

「はい」

「オレ」

あたしは黙ってオートロックを開けた。

「真奈美、泣いてたでしょ?」

「泣いてないよ!それより仕事は?」

「下に任せて先に上がった」

「大丈夫なの?」

「大丈夫だから、任せてきた。真奈美の方が大丈夫じゃなさそうだから」

「ちょっと忙しくて疲れてるだけで、なんともないよ」

「…ふーん」

それっきりあたしたちは黙ってしまった。
ついてるテレビの音だけが部屋に響く。
しばらくして、裕貴があたしの肩を抱き寄せた。
ちょっとだけ、ビクッとしてしまった。
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