追憶の勿忘草〜例え記憶がなくとも〜
─────翌日。
………今日もまた、同じ日々が続く、な。
相も変わらず小童に妾は馬鹿にされ、
先生には媚を売られ、
どうでも良いことばかり。
ただ、唯一変わったといえば。
先「おら、席付け。
今日は転校生がいるぞ。」
そう。転校生が来たことだ。
先「ほら、石蕗、入れ。」
………ツワブキ。
珍しい名前だな。花の名前じゃないか。
妾も人の事を言えぬがな。
花蘇芳=ハナズオウ
花言葉 不信
鬼閖=オニユリ
花言葉 嫌悪
最早そのままの通りだ。
妾は他人を嫌う。不信と嫌悪の塊だ。
そこまでなったのには訳があるのだが、
それはまた後日にするとしよう。
それに、妾には、
七つより前の時の記憶が無い。
何故かも知らぬ。
でも、所詮七つの小童。
少々気にしつつも不便は無い故、
思い出そうとしたことも無い。
そうこうしているうちに、
転校生が入ってきた。
…………………うむ。
一言で言うと、美青年だな。
前髪で右目が隠れているが、
憂いを帯びたオーラは見る者を虜にしそう。
ま、妾は虜になどならぬがな。
「………石蕗 芝桜(ツワブキ シオウ)。……宜しく。」
「「「きゃーっ、カッコイイ♡♡」」」
「「「……………ケッ。」」」
分かります?
どっちがどっちだか。
上が女共、下が男共です★
……………女は気持ち悪いな。
媚売ったりベタベタして気を引こうなど。
虫酸が走る。そんなことよりも他に
力を尽くせと思うがな。
ふとそんな事を考えていたら。
転校生の石蕗君と目が合った。
芝「───────っっ!?!?」
…………目が合った途端、固まられたのだが。
何故……………??
すると、ズカズカと此方へ来た。
そして妾の机の目の前まで来ると、耳元で、
芝「…………後で屋上、来て。昼休みに。」
…………………は?
何かと思えば、昼休みに屋上に来い、だと?
………笑わせる。良いだろう、面白い。
『…………何故かは知らぬが、良いだろう。』
芝「…………どーも。
あ、センセー、俺、この子の隣行く。
いーよねぇ??黒笑」
先「あっ、あぁ……(笑いが黒いっっ汗)」
………………何なんだ、此奴は。
鬱陶しい…………………。
芝「改めて、俺、石蕗 芝桜だよん♪
これから宜しくね〜♪♪」
…………宜しくしたくない。
『………宜しくなど、妾はしたくない故。
勝手に己で自己満足でもしているがよい。』
…………こう言えば、どの小童でも
あっという間に離れていった。
これだけきつく、妾、などの言い方をすれば、
気味悪がって近づく気も失せる筈。
だが。
芝「わー、毒舌ww
それくらいがいーね、やっぱり。」
……………効かなかった…………。
それよりも。
やっぱりとはどういう事だ………??
先「おら、授業始めるぞ〜。」
聞こうと思ったが、担任が授業を始めた
せいで聞けなかった。
─────何者なんだ、石蕗 芝桜。
妾の何を知っている─────