黒愛−kuroai−
 


「由梨もさっき言ったじゃない。

“許せない”
“鈴奈さんがフラれるようにすれば”って。

私も同じこと考えて、早目に準備していただけ」




由梨の学校指定の鞄にパンダのマスコットを括り付けた。


立つように命令し、手にフルートケースカバーを持たせる。




「一つ忘れてた!」

そう言って取り出したのは、黒ペン。

震える由梨の首筋、
左斜め後ろにホクロを描いた。



髪を耳に掛けうなじを出せば、
清宮鈴奈と同じホクロが、イイ感じにチラ見せできる。




「由梨!後ろ姿がそっくりだよ!

良かったね、憧れの彼女にまた一歩近付けたね!

さ、暗くなってきたし、行こうか?」



「ど、どこに?」



「ハ・ン・カ・ガ・イ」





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