黒愛−kuroai−
一歩近づくと、
由梨が一歩下がる。
数歩繰り返し、ソファーにぶつかり由梨の足が止まった。
「や…止めて…」
「うん、辞める。友達をね。
あんたが敵宣言してくれたお陰で、イイコト思い付いちゃった!
決定的な証拠写真を作れそう!
由梨って本当…ツカエルネ」
由梨のお腹にスタンガンを押し当てると、
「ア゙…」
と呻いて気絶した。
ソファーに倒れた由梨を、仰向けに寝かせる。
口から出た泡をティッシュで拭き、半目の瞼をきちんと閉じれば、普通に寝ているみたい。
由梨をそのままに、個室を出て廊下を歩く。
10個の個室は満室で、煩い歌声が漏れていた。
個室のドアの小さな窓を覗いて歩き…
めぼしい男子グループを、三つ先の部屋に見付けた。
大学生風の男子3人組。
ビールや焼酎、つまみを持ち込み、盛り上がっている。