黒愛−kuroai−
 


ふるふると震える腕を、胸元から背中に回す。

ブラジャーのホックに指を掛け、涙を一筋流して見せた。




可哀相な私…

好きな人に純潔を疑われ、身の潔白を証明するため、体を差し出すなんて…



か弱い女子高生にこんな行動させる先輩は…

ヒドイ男だネ…




背中のホックをプツンと外した時、駆け寄る先輩に強く抱きしめられた。



裸の背中に、彼の手の平が触れる。


白いTシャツの胸元に顔を押し付けられ、爽やかな汗の匂いとシトラスの香りを嗅いだ。


頬と首筋に、濡れた髪の雫を感じる。




「先輩…確かめて下さい…」



もう一度言うと、彼は謝った。



「もういい…
ごめん…本当にごめんな…

愛美ちゃんは鈴奈と違う。
信じるよ、君のこと。

俺を本気で好きでいてくれるのは、君だけだ。


愛美ちゃん…
俺と付き合って欲しい」




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