誰よりも優しい総長様


そう言って副総長は頭を下げた。


「お、俺は賛成です。」


「俺も賛成です。」


「俺も!」


それに連発するように賛成の声が上がった。


ただ1人を省いては…


みんなが賛成の声を上げる中唯一反対を唱えた者がいた。


「俺は反対です。」


「紫苑!」


紫苑 シオン


親に捨てられ今は慶と暮らしており、名前も慶がつけたものだった。


「俺は慶さん以外の人が総長だなんて嫌です!」


「紫苑…と言ったかな?それは正しいよ。」


その言葉に誰もが驚いた。


しかし次に待ち構えていた言葉は残酷に近いものだった。


「正しい事だが、それは時に我が儘にもなるんだ。それだけは刻み付けろ!」


その言葉に誰もが背筋を凍らせた。


それ以降は誰一人として口を開く者は居なかった。


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