誰よりも優しい総長様


「さて、柚那。俺たちから逃げ回るのは楽しかったかい?随分探したんだよ?」


「やめてよ!触んないで!」


「おや、本当にいいのかい?そんな態度をとって」


そして向けられる卯月への視線。


そっか、今のあたしにはもうどうすることもできないんだね。


ごめんね、慶


ごめんね、卯月


ごめんね、みんな


「さて、柚那、行こうか。」


そう言って解かれるあたしの縄。


でもこれからが自由なんかでなく拘束なんだってことを知っている。


「ねぇ、お願い聞いて。」


こんなことは頼みたくなかった。


こんなことはしたくなかった。


でも、こうしなきゃあたしは守れないんだ。


ごめんね、本当にごめん。


「お願い?なんだ?」


「卯月は開放してあげて。」


「柚那ちゃん!」


ごめんね、卯月。


あたしは卯月の顔を見ることが出来なかった。


だって、見たら後には戻れないから。


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