逢いたい~桜に還る想い~
───その後、こっそりと郁生くんのケータイ番号を控えて、車で出掛けたあたし。
途中、自分のケータイからも掛けたものの、
やっぱり『電波の……』というアナウンスに切り替わった。
昼間のことがあって、この状況………母親には、とても言えなかった。
一緒に住んでるとはいえ、郁生くんの行き先があまりにも見当つかなくて、
───正直、困った……てか、落ち込んでしまった。
郁生くんの行きそうな所も、友達も、バイト先も、
……あたし、何も知らないんだ。
彼女の顔と、名前は分かるけど……
連絡先なんて、知らないし………。