逢いたい~桜に還る想い~
少し足の悪いおやじさんが、コットン、コットンと、独特のリズムで階段をおりていく音が聞こえなくなると、
雄仁はおもむろに、こんなことを口にした。
「なあ、付き合わない?」
……あぁ、そうか。
昨夜あたし、そんなこと言って迷惑かけちゃったんだっけ、と反省しながら、
「だから……ごめんって。
あの時は、軽はずみなこと言った……」
すると、雄仁は苦笑しながら答えた。
「や、そーじゃなくて。
───来週末さ、俺の地元行くのに、付き合ってくんない?」
雄仁の地元……あたしの家から大学までの距離よりも、明らかに近いところに実家があり、
高校もそこから自転車で通える距離にある。
……のに、入学当初から、何故か一人暮らしをしている雄仁。
『実家は、早く自立させる主義なんだよ』って言ってたけど。