Dear 輝
不意に携帯電話が着信を知らせた。

「も、もしもし?」

あらかじめ聞いたおいた電話番号。
着信はヒデからだ。

「あー、ヒデだけど、美咲?」

想像以上に低い声に驚きを隠せない。
年上というだけあって、落ち着いた雰囲気。

「美咲だよ。今ね、JRの東改札にいるの」

「オッケー。東改札ね。今行くから、電話切らないで待ってて」

「わかった。電話したまま待ってればいい?」

「そうそう。電話してる人が目印になるからさ。あ、東改札出た。どこにいるかなー」

「えっとね、ピンクの上着に白いスカートが目印!」

「なに、その可愛い格好」

「いいじゃん。趣味だよ!」

「分かりやすそうな格好してきたなあ。つか見当たらない」

「えー。身長が低いから見つからないだけかも」

「マジ?身長低いの?」

「うん。151しかない」

「そりゃ人に紛れて見えないわ」

ヒデと2人笑いあった。
ふと、携帯電話を握る大学生と思しき青年が目に入った。
手を振ってみると、青年は白い歯をむき出しにして笑い、こちらへ駆け寄ってきた。
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