脱・不幸恋愛体質

辺りはすっかり暗くなってきていた。

来た時は沢山有った自転車も、ポツポツと数える程になっている。

私は真っ赤な愛車の元に行くと、カバンを籠に放り込んだ。


この辺の大きい道は明るいのだが、一本奥の細道に入ると街灯が余り無く、安全だとは言い切れない。


私は激チャ(激しく自転車をこぐ事)を決意し、自転車の鍵を差し込んだ。

ぶっ倒れてその後仕事をした体には、結構キツいかもな……

なんて思ったものの、最近は物騒な事件が多いから、あんまりボケボケこいで居られないのだ。



―――カチャ


よし…と。


じゃあ、気合い入れて行きますか。


そう思い跨いだ瞬間……



―――ガシッ



ひっ?!?!


ガッシリと左の二の腕を掴まれ、息が止まりそうになった。

あまりに急な事に、声さえあげられない。

背中に嫌な汗が流れ落ちていく。


変な人だったら、ぶ…ぶん殴ってやるんだから!!!


意を決して振り返ったら……



―――!!!!

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