番外編「雨に似ている」1話読み切り
煌々と明るい月の明かりが二人を優しく包み込むように輝いている。





窓から射し込む灯りの眩しさに思わず目を覆った。




今のは―――?
夢……だったのか



窓辺に駆け寄り煌々と輝く丸い月を見上げる。


先ほどと何ら変わりない月である。


月の魔力に魅せられたか?



ふと思う。



月は、満月の時にいちばんその魔力を高め、人の念に障り、在らぬ幻影を見せたり、聞こえるはずもない幻聴を聞かせたり、或いは人の心を狂わせると言う。



何かで、そう読んだ。




まさか……日本史で習った大化の改新に登場する人物たちの夢をみることになるとは思わなかった。



万葉集に名を連ねる歌詠み人、大海人(後の天武天皇)や額田王など



自嘲気味に声を上げる。



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