番外編「雨に似ている」1話読み切り
「わぁーっ、桜の雨」

校門から校舎までの並木道に桜の木が、満開の花を讃えて咲いている。


風が吹くたび八重の薄紅色をした花弁が、はらはらと舞い落ちる。



桜花の下、薄紅色の羽衣が弧を描いたような気がした。



羽衣!?……桜の精!?

思わず、目を擦る。



「あ……」


桜花のトンネルを潜りながら少女が桜を仰ぎ、手を伸ばし花弁を掬おうとしている。


薄い桜色のスーツを着た少女。胸の辺りまで伸ばした髪が風になびく。




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