みあげればソラ


いつもは昼過ぎまで寝ている弘幸が、今日は珍しく朝から起きている。


「おふくろも行くんだろう、墓参り」


弘幸にそう聞かれて、幸恵は返事に詰まった。

そうだった、このシスコン男が妹の命日を忘れる筈などなかったのだ。

幸恵も母として、娘の命日くらいは覚えていた。

できるだけこの時期には日本に留まる予定でいたし。

自分が日本に居ない時には、編集に頼んで花を手向けてもらってもいた。

月命日も欠かさず墓参しているこのバカ息子と自分を比べるのは無意味なことくらいわかっている。

だが……


「あんた一人で行って。

わたしは時間があったら一人で行くし」


気恥ずかしくて、親子並んで墓参などできるものか、と思ってしまう。

いくつになっても、幸恵は母としての自分にもどかしさを感じてしまうのだ。

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