みあげればソラ


「ユキィ〜、帰るぞぉ」


そうこうしているうちに、弘幸が仕事を終えて上がってきた。


「あれ、雄一、来てたんだ」

弘幸は雄一の姿を見ても驚かなかった。

彼の言うように二人は昔からの知り合いなのだ。

「ジョー、おどろかないでよ、なんとこの二人知り合いですって!

それも付き合ってたんですってよ、信じられる?!」


「もしかして、あの気まずくなった彼女ってこいつのことか?」

「……」

雄一は弘幸の言葉に顔を赤らめ無言で頷いた。

なんだか、由貴一人が蚊帳の外だ。

「って、あれっ? ユキおまえ、なんだかさっきと違わないか?」

やっと由貴の変化に気づいた弘幸が、まじまじと彼女を上から下へと眺めた。

「えっ、そうかな」

「それはわたしがかけた、ま・ほ・う♪

ちょっと時間があったから遊んでたの。ユキちゃんてば、あたしの若い頃の服がピッタリなんですもん。

服着せたら髪型もいじりたくなっちゃって、ついでにお化粧ごっこもしたのよ〜」

「マサルの服がねぇ〜

ま、よく似合ってる。馬子にも衣裳だ。女は服と化粧で化けるからな」
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