みあげればソラ


「あら、似合うじゃない」


由貴は鏡に移る自分の姿に驚いていた。

勝はクローゼットから、自分の若い頃の物だと言って何点かの女性物の服を由貴に持ってきて見せた。

「昔は痩せてたのよ」

と勝が言うとおり、由貴が着てみるとサイズがピッタリ合ったのだ。

「髪も切ってあげる」

聞くと彼は昔美容師をしていたことがあるという。

「その頃の人脈でカワイイメンズを揃えたからね。

お店も繁盛するわけよ」

おかっぱだった前髪は更に短く切られて、サイドの髪もボリュームをそがれていく。

「あなた、眉毛とオデコがチャームポイントなのに勿体ないわ」

ほら、眉も少し整えるだけで随分あか抜けるでしょ、と薄くメークも施されて、鏡の中には別人のように変わった自分がいた。

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