LOVELY DIET
失言の真相
 会社の営業方針が決定した。

いち押しはクリーンエンジン搭載車

それを作り出す女性組み立て班

エコカー減税が会社を救うのか否かは、リーダーの腕に掛かっていた。


2010年の9月末日。
エコカー減税が廃止されるまでに何とか形にしなければいけなかった。




テレビの情報番組でも取り上げられ、プロジェクトは順調に走り出した。

会社の目標は女性だけの組み立て班の活躍によって、大きく躍進した。

女性班には金一封が下された。

 リーダーはそのお金で、全員をカラオケに誘った。

勿論全員即OKした。

「リーダーお子様は?」
先輩が聞く。

「実家に預かって貰うから大丈夫」
リーダーが雪那を見ながら言った。




 カラオケは予想通りに盛り上がった。

「楽しんでてね」

リーダーはトイレに行く振りをして席を立った。

雪那を待つ為だった。
「遅かったわね」
パウダールームに立ち寄った雪那にリーダーが迫って来た。
雪那は思わず後ろ伝いに引き下がった。

「待っていたのよ。話がしたくて」

リーダーはパウダールームのドアを開け、廊下に誰も居ない事を確認してから話し出した。

「雪那ちゃんは初恋の相手だったの」

――えっ!――

リーダーの思いがけない言葉に、雪那は思わずたじろいだ。

「通学班で初顔合わせの時だったわ。妙にソワソワしてて、聞いたら雪那ちゃんの事が心配だって」

「えっ何故ですか?」

「痩せていたでしょう?確か未熟児で産まれて来たとか聞いたけど」

「はい。あの頃は食も細くて。あっもしかして」

「そうよ。初め会った時はガリガリだったって言ったのは、その事だったの。あの馬鹿、雪那ちゃんの事が心配で、ずっと見守り続けたの」

リーダーの言葉を聞いて、雪那は大声で泣き出した。
雪那が中学で再会した智希は底抜けに明るくて優しかった。

だから雪那が憧れ、大好きになったのだった。

ドアの向こうで、拍手の音がしていた。

リーダーがドアを聞けるとそこには、組み立て班の全員が集まっていた。

「おめでとう!!」
の嵐だった。

雪那は更に泣きじゃくった。




 智希は中学で雪那に再会した時、ホッと胸をなで下ろした。
雪那が普通の少女になっていたからだった。

雪那の事が心配で時々見つめると、はにかんだように雪那が照れる。

その仕草が可愛くて、益々雪那にぞっこんになった。

そして智希は、初めて会った時から雪那の事が大好きだった事に改めて気付いたのだった。

「みんな聞いて。私実家に戻る事にしたの。別に長男が家を継がなくても良いと思ったから。だってそうすれば二人は何も気にしないで付き合えるでしょう?」

リーダーが宣言する。

みんな一斉に拍手する。

「あのアパート。二人の新婚部屋にさせちゃおうと思うんだけど?」

リーダーが言うと、みんな一斉に雪那を胴上げした。

雪那がハッタリと思い付きで言った、クリーンエンジンとエコカー減税。

今ではそれが会社の方針となり、売上の起爆剤にもなっていた。

雪那は会社から表彰される事にもなった。

新米だった雪那が、その持ち前の頑張りで会社の星と称えられるまでになった。


ただ一途に智希を愛した結果だった。

何故ならば、あのイケメン女子と智希への恋心がなかったら成し得ない事だった筈なのだから。




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