ハッピーバースデイ
振り向いて姿形を確認。
カラオケは? とか、クラスメートは? とか。
言葉が出なかった。
「銀司ー、こっちだよー?」
女子が銀司を呼んでいる。私はやっと声が出るようになった。
「呼んでるよ? 楽しんできてね」
口角をあげた。
「ああ、うん」
何かを言い淀んで佐月君の方を少し見た。
背中をこちらを向けたのを見て、息を吐く。
一緒に、魂も出て行ってしまったんだと思う。
ふらりふらりと駅の方へ歩いた。