ハッピーバースデイ
放課後、空いていた特別教室で日が暮れるのを待った。
一緒に帰ろうと誘われた日からずっとこんなだ。
なんか、逃げてばっかり、謝ってばっかり。
夕陽が沈みそう。美しいそれに少し見惚れて、目を閉じる。
昼間の光も、夕陽も、銀司に似合うんだろうな。
残像が胸を苦しめる。
目を開けたら、私が生まれる前とかにタイムスリップしていないかな。
そうしたら、もう銀司に恋なんてしない。
こんなに近いのに視界に入らないなんて、本当に、辛いだけなんだから。
ふと、人の気配に目を開けた。
顔が近い。少し伏せられた長い睫毛に、やはり夕陽の光が集まっていた。
避ける間もなく、唇が重なる。