死の百物語と神は云う。

○4:緑の瞳

【美島幸恵】


 うふふ、ストーカーさんかぁ……悪質だったりタチの悪いストーカーさんって、怖いわよねぇ。

 わざわざ家にまでやってきて扉をバンバンと叩いたり、家の前で待ち伏せしていて、家から出て来たところをナイフで一刺し……なんていう話もあるのよ?

 安心が出来る我が家にいても、ずっとガタガタと震えなきゃいけないのって、嫌だわよねぇ。


「あの、幸恵さん。そろそろお話の方を……」


 あっら~、ごめんなさいね?悠夜く……失礼、坊や。私ったらつい……。今からちゃんと話すわ。


「わざわざ“坊や”って言い直さなくてもよかったのに……」


 そうねぇ……。じゃあ、緑の瞳って、どんな意味を持ち合わせているのか……知っているかしら?


「えっ、僕は無視ですか」


 ……癒し?救済?汚れを取り除く?そうねぇ、確かに、緑色って聞くと、そういう意味を司っているかのように思えちゃうわよね。一般的に落ち着く色とされているから。


「……」


 でも、実は西洋の方では全く違うふうに思われているのよ。思われているというか……象徴?っていうのかしら。

 赤は情熱、青は冷徹……なんて、色に意味のイメージがあるのは分かるけれど、わざわざ瞳の色にまでイメージというか象徴があるだなんて、驚きよねぇ。

 今から私が話すのは、生れつき緑色の瞳を持った、とある女性のお話よ。
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