始まりのチョコレート
「あの、さ・・・矢野くん、今日バイト終わり、ちょっと話があるんだけど・・・」
「話、ですか?いいですよ、待ってます」
私の顔を覗き込んだまま、また、人懐っこい小型犬のように彼は笑った。
むくむくと、勘違いが膨らんでいく。
現実を知って、折角、諦められたと思ったのに。
また、ほんの一握りのその可能性に、かけてみたいとか、思ってしまった。
「たのしみにしてますね?宮内さん」
私だけに聞こえる声で呟く。
まるで全て、見透かしてるかのような声で。