半透明彼女

僕の変身?



「ジュンペーって学生?」


「大学生だよ。来週、入学式。」


「…そっか。」


僕の周りを足音もなく、スーッとぐるぐる回りながら、首をかしげる綾ちゃん。

時々、眉を潜めながら僕を見下ろす視線。


「なっなっなんだよ?」


「んー、素材はいいのに。もったいないなぁー。」


「これから、お出掛けしよっ」


「何処に?」


「いい所」


何の説明もなく、急かされて身支度をする。

足早に出掛け、綾ちゃんが行く方向に着いて行く。


田舎者の野暮ったいダサい僕には似合わない街並みを歩きながら
半透明な彼女に着いて行く。

~

何やら鼻歌を唄いながら楽しそうな綾ちゃんは、歩くというよりは、スーッと滑ってるみたいだ。


幽霊も足はあるんだなぁ…と、ぼんやり考えてると綾ちゃんは立ち止まって


「ここだよ!」


ふっと顔を上げると、僕には無縁のお洒落なヘアサロンが、そこにはあった。


ここですか?


< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop