彼女の恋~小指の赤い糸~


数ヶ月前。


ちょうど主任と二人だけの残業の日があり絶好の機会だと少し前から考えていた事を話した。


東條君が復讐の為に千夏に近づいた事を書いた手紙を千夏のお姉さんのマンションに出した。


本当は千夏のご両親に書いた手紙だけど一緒に住んでいる千夏に開封される可能性を考えての事だった。



そして更に東條君に抱かれたと千夏に嘘をついた。



「紗季さん嘘ですよね?」



「残念だけど本当の事よ」



「信じられない?証拠、残してきたから自分の目で確かめてみたら?」



「証拠って何ですか?」



「腕時計、置いて来たの。
この後、東條君の所に行くんでしょ」


主任に東條君のマンションに置いてきた腕時計が証拠だと言うと千夏の表情は曇っていって。


「東條さんがそんな事するわけないです」


「だから、さっきから言ってるでしょ。確かめてみればって」



千夏は真っ青な顔で喫茶店から飛び出して行った。
直ぐにやり過ぎたって、そう思った。


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