有界閉領域

怪我

ドン!ガタガタ!!ガチャン!!!







ウトウトしていた耳に、聞こえる物騒な音。






ハッとして目が覚めた。






音は、後ろの離れのおじいちゃまのアトリエから聞こえてくる。







おじいちゃまが帰ってきたのかしら?






それにしても、普通じゃない音がした。






真由は、そっとおじいちゃまのアトリエに向かう。






アトリエの窓には、黒ずくめの人影。






   誰??





   おじいちゃまではない!!!!






誰か確かめたくて、真由はそっと部屋の中がよく見える窓まで移動する。








綺麗に整頓されていたアトリエの中は、暴れたみたいに床に物が散らばっている。








その中に全身黒ずくめの男がチラリと見えた。






    泥棒!!!!!!








思わず声をあげそうになり、慌てて自分の口を両手で塞いだ。






   白昼堂々と泥棒なんて・・・・








動揺と恐怖で頭の中が真っ白になり、呆然としてしまう。









その時黒ずくめの男は、ふいにこちらを見た。






   見られた!!!!




   どうしよう!!!!





   警察に電話をしなくては・・・・








でも恐怖で足が震えて電話の所まで歩けない。







ドン!!!ガチャガチャ!!!








ドアノブを回す音。





   黒ずくめの男が、私を殺しに来る。





   心の底から恐怖が押し寄せた。








「キャー――――――――キャー―――――!!!!!」









目の前に現れた黒ずくめの男を見た瞬間、パニックになって叫んだ。







ドンとのしかかられ・・・・押し倒され・・・・









ニットの目出し帽から、見える充血した目が『殺すぞ』と言ってるようで気絶しそうになった。









後は、恐怖で記憶にない・・・・








のしかかられていた体が、ふわりと軽くなる。







「この変態やろう、どけよ!!!」





   ドン!!!ドス!!!





    誰???





    誰かが・・・・レイ???









目に飛び込んできたのは、レイが黒ずくめの男に蹴りを入れているところ。









でも、次の瞬間キラリと光るものが横に伸びた。






「うぅぅ・・・」








うなり声を出してレイが倒れこんでいる。





   ナイフ?・・・・切られた・・・・?





「キャー――――!!!!!キャー――――!!!!」








赤く滲むレイのシャツを見て、気が狂ったように叫んでいた。






「レイ、レイ、レイ・・・」







駆け寄った真由にレイは、平気だって言うように微笑む。






「真由、大丈夫だよ。カスっただけ・・・」







真っ青になって震えている真由をそっと抱きしめて、レイはそう言った。








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