桜庭家の姉達



「そういや、先生。編集長から官能の方の短期連載はするのかしないのかって話が出てきてるんですよね」



お昼ご飯を食べた後、作業部屋に戻って原稿を進める。




「短期連載か…」

「どうでしょうか?」

「うむ。まだ考えさせてくれないか。描くとなるとネタが必要になる」

「……わかりました。編集長にはそう伝えます」


前々からその話はあったが、なにせネタが思い浮かばないのだ。




できれば身内でネタにできればいい話があればいいのだが、琴乃姉に男の影はなく、琴音姉はネタにする余地なし。
琴羽姉は官能というよりも少女漫画向けで、琴海は無縁だし、琴里は謎。




「いいネタが思い浮かぶといいですね」

「まったくだ」





いいネタが思い浮かぶのがすぐそこだということをーーボクはまだ知らない。






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