彼氏契約書
「美緒さん、顔を上げてください」

私の前にきた蒼空は、そっと私の顎を持ち上げた。


「その言葉、信じていいんですか?」

蒼空の言葉に小さく頷く。

…優しい表情の蒼空の顔が、だんだん歪んでくる。

涙で、前が見えなくなる。



「蒼空…蒼空・・・」

今にも消え入りそうな声で、何度も蒼空の名を呼ぶ。



「美緒さん、僕も好きですよ・・・

心から。貴女を愛してます・・・ずっと、永遠に」


その言葉の後のキスは優しくて、でも深くて、

どんなに歪んでも、蒼空のどんな顔も見逃すまいと、

ずっと見ていた。


…貴方のすべてを、心に焼き付ける為に。

…貴方を愛したことを、心に刻むために。
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