彼氏契約書
会社の外は、夕暮れ色に染まり始めていた。

…夕日が綺麗で、思わず立ち止まった。


「…綺麗な空」

…ツーッと、一滴の涙がこぼれ落ちた。


これでよかったんだよね?

会社の為だもの。

一時の感情で、すべてを失うわけにはいかない。

小さかった会社が、今どんどん大きくなっている発展途上の時に、

私一人の為に、社員を路頭に迷わすわけにはいかないよね。


社長が、今までやって来た事が水の泡にならない為に。


私は涙を拭い、自分の会社へと足を進めた。
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